「Ecoを考える」4限目:家庭用蓄電池の現状と目標

前回の3限目の続きです。
 住宅業界はスマートハウスの言葉が大流行しています。このスマートハウスに不可欠なのは蓄電池です。
太陽光などで得た電力を大切に蓄えることができる家庭用蓄電池が必要になります。
現在、この家庭用蓄電池はリチウムイオン蓄電池派と鉛蓄電池派の2つに分かれて、スマートハウスの山頂を目指しているようです。

鉛蓄電池は、昔から車や船のバッテリーに使われているので身近で安全性に信頼がありますが、電力パワーを高める技術開発が必要です。また、リチウムイオン蓄電池は、電力パワーがありますが、コストの高さと安全性に問題があり技術開発が必要です。当分の間この2つの家庭用蓄電池の競争が続くようです。なにしろ、この競争はまだ始まったばかりですから!

  ○リチウムイオン蓄電池派 ・・・ 大和ハウス エリーパワー株式会社 など
  ○鉛蓄電池派 ・・・・・・・・・・・・ トヨタホーム ミサワホーム 積水ハウス デンソー パナソニック電工など

  先ず、リチウムイオン蓄電池派について書きます。 リチウムイオン電池を大和ハウスが推進するのは、将来リチウムイオン電池の時代が来ることを見越して大和ハウスグループなどが出資して設立した関連会社エリーパワー株式会社があることが一つの理由です。
3限目で書いたように、リチウムイオン蓄電池を住宅に設置すると、現行消防法の網にかかってしまいます。そこで「エリーパワー株式会社のリチウムイオン蓄電池を早く住宅に設置できるように」と第三者の試験認証機関に働きかけ安全性の認証を得ることで、ようやく住宅への設置にこぎつけた経緯があります。
いずれ経済産業省の安全基準ができるので、消防法をクリアーしたリチウムイオン蓄電池が身近な存在になってくると思います。 

 次に、鉛蓄電池派について書きます。自動車で培った鉛バッテリーを住宅用に技術開発してトヨタホームや積水ハウスが設置を開始しています。鉛蓄電池は安全性が高く、コストは比較的安価です。そして始まったばかりのスマートハウスの家庭用太陽光発電状況を考えると、現状では鉛蓄電池がちょうど良い効率効果があるとも言えます。

 今の家庭用蓄電池は「停電時や予期せぬ出来事が起こった際の電源」が前提条件で設置されていますが、とりあえず目指す目標は3つあると思います。

○1つ目は、太陽光発電や風力発電は天候に左右されやすい不安定な電力なので、
 一旦この電力を蓄えてから安定した電力として日常生活で使えるようになること。

○2つ目は深夜電力で蓄電をして、その電力を電力需要のピーク時に家庭で使えるようになること。
 そうなれば社会全体のピーク電力を抑えられます。

○3つ目は、電気の契約アンペア数を下げて、使用する電気量が契約アンペア数を超えそうになった時に
 蓄電池の電気に切り替わるようになること。契約アンペアを下げると基本料金が下がるのでお財布にもいい事になります。

  4限目最後にNAS電池について書きます。
NAS電池はメガソーラーや大規模風力発電の大量の電力を貯蔵する蓄電池施設のトップランナーとして期待されています。
しかし2011年9月に三菱マテリアル筑波製作所の電力貯蔵用NAS電池からの火災事故で、NAS電池の生産がストップしています。事故原因の究明と再発防止が急務です。←※追記、2012年6月7日付けで、原因と安全強化策が示され、生産を再開しています。
大規模蓄電の取り組みがムービーで紹介されています、NAS電池の実用性がちょっと理解できた気持ちになれます→
https://www.ngk.co.jp/product/nas/movie/movie_nas.html

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