「Ecoを考える」10限目:年省エネ基準の目指す方向

 国の住宅分野の省エネルギー政策が定まり、目指す方向性が見えてきました。
これからまた少しずつ、住宅の目指すところを書いていこうと思います。

『10限目:省エネ基準の目指す方向』
 現在の日本の住宅は中途半端な断熱性能の家が多く、快適な生活を求めるためにエネルギーを使いすぎる傾向にあります。

「エネルギーを使いすぎる?どうして?うちはオール電化だから省エネでしょう。」という声が聞こえてきそうですが、オール電化の家は決して省エネ住宅ではないのです。
確かに深夜電力やオール電化割引によって家庭の光熱費用は下がりますが、これだけではエネルギーを削減したとはいえません。

北陸電力には、お客が契約したアンペア数を保証する義務があります。
つまり、発電量は契約アンペア数×契約世帯数となり、各戸が契約アンペア数を減らさない限り、
本当の意味で省エネルギー対策をしたことにはならないのです。

 アンペア数を下げることの必要性について、今度はエネルギー換算の面から考えてみましょう。
<※ちょっとここで1限目に戻って、1次エネルギーと2次エネルギーの考え方を読んでください。>

発電所から家に電気が運ばれてくるまで、1次エネルギー換算値で2.7の化石燃料が消費されます。
(たとえば、家庭用エコキュートを使って電気使用量を抑えても、発電所から家に届くまでにすでにエネルギーが使われています。)
他のエネルギーは、太陽光発電などの再生可能エネルギーが0、木質バイオマスが0.2、ガスが1.3ですから、発電所から送られる電力の1次エネルギー換算値2.7は、かなり高いということがおわかりでしょう。
したがって、家庭のアンペア数を下げることは1次エネルギー消費を抑える近道であり、
地球規模の省エネと温暖化防止に大いに貢献するのです。

※参考に下表の日本の1次エネルギーと温暖化効果ガス排出の推移をご覧になってください。

1次エネルギーは増加傾向にありましたが、近年は足踏み状態です。(出典:資源エネルギー庁)

温室効果ガス排出量は、東日本大震災の年は減少しましたが、増加に転じています(出典:環境省)

 そこで、国は今まで努力目標であった住宅の省エネ性能を具体的な数値で厳格化する事を決め、平成25年(2013年)改正省エネ基準を施行しました。
この省エネ基準の大きな改正点は、生活全般『冷暖房・換気・照明・給湯・家電・調理・太陽光発電』のエネルギー量を求め、省エネ住宅の合否判定を行なうようにしたことです。
これには住宅の省エネ基準の底上げを図り、将来的にワンランク上の低炭素住宅やゼロエネ住宅にレベルアップする狙いがあります。
この基準は2020年には義務化され、この取り組みによって、日本の住宅性能は着実に向上しています。
  しかし、弊社としては、ここでちょっと別の視点にも注目していただきたいと思います。
昨今の最新省エネ住宅は、性能値を高めるあまり、意匠デザインや構造がおざなりになっているように感じます。
環境(省エネ)・デザイン・構造が三位一体になってこそ、長く住み続けたい愛着の湧く家になります。
これからは、富山の気候にあった省エネ住宅と心惹かれるデザインを融合させることが、良い家造りのテーマとなるでしょう。

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