「Ecoを考える」6限目:LED照明の基礎知識

次世代を担う省エネルギーの光源として、LED照明が注目されています。
LED照明が急速に家庭に普及しはじめたのは、2010年度の住宅エコポイントで、電球形LED照明が対象になってからです。今のLEDの状況を音楽で例えるなら、レコードで聴いていた音楽をCDで聴くようになったような感じでしょうか。
 今回はこのLEDについてお話します。

●LEDの歴史について
 LEDは、人類が手に入れた第4世代の灯りです。1世代目はろうそく、2世代目は電球、3世代目は蛍光灯です。
LEDは、1960年代にアメリカで赤色LEDと黄色LEDが開発され、家電製品の表示灯や電車内の行き先案内などの電光表示板として使われてきました。
「青色のLEDがあれば白色光を出すことができる!」
このことは多くの技術者がわかっていたのですが、青色LEDの開発はとても高いハードルでした。しかし1993年、ついに日本人の中村修二氏が青色LEDの発明に成功したのです。これは照明分野における大発明です。
【↑※追記、2014年10月9日、ノーベル物理学受賞者として、赤崎勇氏、天野浩氏、中村修二氏が選ばれました。】
その後、間もなく緑色LEDが開発されて、3原色の赤・緑・青が揃いました。この3原色を混ぜ合わせることで、照明に必要な白色光を作ることができ、ついにLEDが第4世代の灯りとして誕生しました。
そして今、LEDが家庭照明として続々と商品化されているのです。

●日本と世界のLED照明の使われ方について
 日本が住宅エコポイントなどでLED照明を推し進めるのは、省エネ効果・二酸化炭素排出削減と、経済の活性化を期待しているからです。
 家庭から排出される二酸化炭素の6パーセントが照明からと言われています。LEDは省電力で長寿命なので、白熱電球や蛍光灯の光源をLED照明にすることで、二酸化炭素排出を減らすことができます。また、LEDを開発することで、低迷気味な日本の半導体産業を元気にする意図もあるようです。
 世界的に見ると、アジアがもっともLED照明が盛況です。これはアジアの電力事情が悪いためで、電力をあまり使わないLEDが好まれているのです。
一方、ヨーロッパや北米は、明るさよりも雰囲気のある温かな灯りを好む文化があるので、当然LED照明も電球色にこだわります。しかし、LEDの電球色は昼白色に比べ電力効率が悪く、省エネにならないので、日本ほど盛り上がっていないのが実情です。

●LED照明の性能について
 LED照明の寿命は、24時間連続点灯した場合、白熱電球は40日、蛍光灯は250日、LED照明は1600日(4年以上)くらいで、LED照明が圧倒的に長寿命です。一度購入すれば一般家庭生活で10年くらいは交換する必要がないので、従来の白熱電球や蛍光灯のような交換需要は小さく、各照明メーカーは最初の販売機会を逃がさないようにしています。
 消費電力は 60W相当の場合、白熱電球は60W、蛍光灯は12W、LED照明は7Wくらいです。LEDは、白熱電球よりもはるかに少ないですが、蛍光灯と比べると若干少ない程度で、使い方次第では、まだ蛍光灯の方が有利な場合があります。しかし、LEDは飛躍的に技術開発が進んでいるので、今後さらなる省電力化が期待できます。
 また、LED照明は可視光線なので、蛍光灯に比べて紫外線や赤外線をほとんど出さないという特徴があります。
     「 紫外線 →可視光線(青→緑→赤)→ 赤外線 」
そのため、紫外線で衣服や書類が色あせしにくく、また紫外線を明るいと感じて集まる虫が寄り付きにくいのです。
しかし、LED照明はまだ発展途中の灯りなので、人体にどんな影響を与えるかわかっていません。白色LEDの波長が体内時計を狂わせないか、目の網膜に影響をあたえないか等の研究が、現在進められています。

●LED電球を体感して思ったこと
 LED電球を実際に使ってみて感じることは、従来の白熱電球(40グラム程)や蛍光灯よりかなり重いということです。これはLED電球の中に電源回路などが入っているためですが、重量が100~200グラムあるので、落下事故には充分注意しなければいけません。表面が樹脂カバーになっているものがほとんどなので、落下して割れる危険性は少ないですが、落下した際に身体にぶつかるなど家庭内事故を起こさないように、取替え時にLED電球の固定具合をしっかり確認する必要があります。
 LEDはスイッチを点けたらすぐに点灯する特性があるので、電球形蛍光灯に比べて、スイッチを点けてから明るくなるまでの時間が短いです。また、電球形蛍光灯は気温が低いと明るくなるまでに時間がかかりますが、LED電球ではそのようなことはありません。点滅に対する耐久性も高いので、頻繁にオンオフを繰り返すトイレや洗面所に適しています。
LED照明にはリモコン操作で明るさや光色(電球色・昼白色・昼光色)が変えられる商品もあるので、生活シーンに応じた心地良い光をみつけられると思います。
  下記の表は、白熱電球・蛍光灯・LED電球の交換早見表です。参考にしていただけたら幸いです。

●LED照明の将来像
 今後、LED照明は省エネ・調色・調光の機能がさらに向上します。また、徐々にコストが下がってきていますので、第4世代の灯りとして、家庭生活に浸透していくのも遠いことではないでしょう。温かく家庭生活に受け入れられるよう、住居の室内空間やインテリアと調和できる、優れたデザイン性のあるLED照明器具の開発が重要です。
 住宅を造る側にとっては、照明器具のデザイン性はとても大切なポイントです。LED照明のさらなる性能の向上とデザインの進化に期待しています。

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